不思議な話 PR

ドラ○もんみたいな話①

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やなかゆう
やなかゆう
海野十三作、『洪水大陸を吞む』の一話目です
おはなちゃん
おはなちゃん
三四郎君、出だしからとんでもないセリフを・・・
やなかゆう
やなかゆう
ドラえもんだったら「いつものことじゃない。」で済まされるけど、この話ではどうなるでしょう
このおはなしはこんな人にオススメ
  • SF小説やドラえもんが好き。
  • あまり知られていない作品を読みたい。
  • 5歳以上の子どもに読み聞かせしたい。

このおはなしの作者

海野十三うんのじゅうざ(1897年~1949年)

※名前をクリックすると別ウィンドウでWikipediaの作者情報が表示されます。

おはなしの始まりはここから

★この文章は2分で読めます

「ぼく、きているのがいやになった。」

三四郎さんしろうが、おじさんのところへて、こんなことをいいだした。

きているのがいやになったって。これはおどろいたね。どものくせに、いまからそんなことをいうようじゃこころぼそいね。なぜそうおもうんだい。」

しらがあたまに、のつよい近眼鏡きんがんきょうをかけた学者がくしゃのおじさんは、ほんからをはなして、たずねた。

「だって、ちっともおもしろいことがないんだもの。」

「ふん、なるほど。」

「おなかはいつもすいているしね、しいものはみせにならんでいるけれど、たかくてえやしないしね。」

「ああ、そうか、そうか。」

「その品物しなものだって、とびつくほどしいものでもないし、それから大人おとなひとは、みんなこまったこまったおもしろくないおもしろくないといっているしね、ぼくは大人おとなになるのがいやになったの。」

「なかなか、いろいろかんがえたもんだね。大人おとなになるよろこびがなくなっては、もうおしまいだな。しかしだ、きているのがいやになったなどというのは人間にんげんとして卑怯ひきょうだとおもう。また人間にんげんというものは、もっとひろ世界せかいをやり、とおおおきな仕事しごとのことをかんがえなくてはならない。いや、そんなお説教せっきょうをするよりも、いまおじさんが三四郎君さんしろうくん一万年いちまんねんばかりまえ世界せかい案内あんないしてあげよう。そこできみは、どんな感想かんそうをもつだろうか。あとでおじさんは、きみ質問しつもんするよ。」

「ほんとですか。一万年いちまんねんまえ世界せかいくって、そんなことはできないでしょう。」

「いや、それがちゃんと、できるのだ。おじさんがこしらえた器械きかいをつかえば、そういうふる時代じだい有様ありさまえるんだ。映画えいがのようにうつるんだ。ただ残念ざんねんなことに、その時代じだい人々ひとびとがしゃべっているこえが、十分じゅうぶん再生さいせいできないんだ。」

「じゃあ、トーキーではない無声映画むせいえいがというのがありますね。あれみたいなものですか。」

全然無声ぜんぜんむせいというわけでもない。映写幕えいしゃまくにうつる古代こだい人々ひとびとが、ものをいうときに、くちをうごかす。そのくちのうごかしかたから、かれらがどんな言葉ことばをしゃべっているのかを、翻訳ほんやくすることもできるのだ。しかしこの翻訳ほんやく言葉ことばは、画面がめんうえで、わたしたちのほういていて、くちをうごしかしているひとにかぎるんだ。だからうしろきのひとのいっている言葉ことばからない。そんなわけで、ときどき、れながら、かれのいう言葉ことばかるんだ。」

「ふしぎな器械きかいですね。しかしそれはおもしろいですね。しかしほんとうかしら。」

れば、ほんとだとかるだろう。」

「ああ、そうか。その器械きかいはタイム・マシンというあれでしょう。」

「あれとは、ちがう。顕微集波器けんびしゅうはきと、わたしをつけたがね。つまりこの器械きかいは、一万年前いちまんねんまえなら一万年前いちまんねんまえ光景こうけいが、ひかりのエネルギーとして、宇宙うちゅうとおくとんでいくのだ。そしてほかほしにあたると、反射はんしゃしてこっちへかえってくる。ほしはたくさんある。ちょうど一万年いちまんねんかかって今地球いまちきゅうへもどってくるものもある。それをつかまえて、これからきみせてあげよう。」

ドラ○もんみたいな話②【この文章は5分で読めます】海野十三作、「洪水大陸を吞む」の第二話です。物語の漢字全てにルビが振ってあります。また、ルビ付きの1分で音読できるシートもダウンロードできます。...

読了ワーク

思い出してみよう

  1. 三四郎はどうして「生きているのが嫌になった。」と言ったのでしょうか。
  2. おじさんは三四郎をどんな世界に案内しようと言いましたか。

調べてみよう

  1. “トーキー”とは何でしょうか。
  2. 『器械』と『機械』の違いは何でしょうか。

単語ピックアップ

1.卑怯(ひきょう)

臆病で、正々堂々と立ち向かわない様子。

2.翻訳(ほんやく)

ある言語で表された文章や話を、別の言葉に置き換えて表すこと。

音読シートダウンロード

★この物語“洪水大陸を吞む①【ふしぎな器械】”の音読シートがダウンロードできます。
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読了ワーク『思い出してみよう』の解答例

  1. ちっともおもしろいことがなく、おなかはいつもすいていて、欲しいものは高くて買えず、それもとびつくほど欲しいものでもなく、大人はみんな「困った」「面白くない」と言っていて大人になるのが嫌になったから。(大人になるよろこびがなくなったから。)
  2. 一万年ばかり前の世界。