- ノスタルジックな気分に浸りたい。
- 心が温かくなる話が読みたい。
- 3歳以上の子どもに読み聞かせしたい。
前回までのあらすじ
丘の家②【後編】はここから
★この文章は3分で読めます
おばさんは、それから、男の子とちょうど同い年ぐらいの女の子を呼び出しました。
そして、二人でお遊びなさいというように、頷いて見せて、再びお家へ入って仕事をしました。
その小さな女の子も、自分と同じように、裸足のままで、黒っ茶けた木綿の上着を着ていました。しかし、その髪の毛は、ちょうど、男の子がいつも見ている光った窓のように、きれいな金色をしていました。
それから目は、ま昼の空のようにまっ青に澄んでいました。
女の子は、にこにこしながら、男の子を誘って、お家の牛を見せてくれました。それは、額に白い星のある、黒い小牛でした。
男の子は自分のお家の、四つ足の白い、栗の皮のような赤い色の牛のことを話しました。
女の子は、そこいらになっているりんごを一つもいで、二人で食べました。
二人はすっかり仲良しになりました。
男の子は、金の窓のことを女の子に話しました。女の子は、「ええ、私も毎日見ていますわ。でも、それは、あっちの方にあるんですよ。あなたはあべこべの方へ来たんですわ。」と言いました。
「いらっしゃい。こっちへ来ると見えるのよ。」と、女の子はお家の側の、少し高いところへ男の子をつれて行きました。
そして、金の窓は見える時が決まっているのだと言いました。男の子は、ああ決まっている、お日さまが入る時に見えるのだと答えました。
二人は小高い所へのぼりました。
女の子は、「ああ、今ちょうど見えます。ほら、ごらんなさい。」と言いながら、向こうの丘の方を指差しました。
「ああ、あんな所にもある。」と男の子はびっくりして見入りました。しかし、よく見ると、それは丘の上の自分の家でした。
男の子はびっくりして、私はもうお家へ帰ると言いだしました。
そして、もう一年も大事にポケットにしまっていた、赤いすじが一すじ入った、白い、きれいな小さな石を、女の子にやりました。
それから、栃の実を三つ、ビロードのようなつやのある、赤いのと、ぽちぽちのついたのと、牛乳のような白い色をしたのと、その三つをやりました。
そして、また今度来るからと言って、大急ぎで走って帰りました。
女の子は、男の子が慌てて駆けて帰るのを、びっくりして見送っていました。
きらきらした夕日の中に、いつまでも立って見ていました。
男の子は、息を休めないで、どんどん走って帰りました。しかし道がずいぶん遠いのでお家へ着いた時には、もうすっかり暗くなっていました。
自分のお家の窓からは、ランプの明かりと、炉のたき火とが、黄色く赤く見えていました。
ちょうど、さっき丘の上から見た時と同じように、きれいに輝いていました。
男の子は、戸を開けて入りました。
お母さんは立って来て、頬ずりをして迎えました。小さな妹も、よちよち駆けて来ました。お父さんは炉の側に座ったまま、にこにこしていました。
お母さんは、「どこへ行って来たの? おもしろかった?」と聞きました。
「ええ、ずいぶん愉快でしたよ。」と男の子は、嬉しそうに言いました。
「何か良いことを覚えてきたかい?」とお父さんが聞きました。
「私は、自分たちのこのお家にも、金の窓がついているということを教わってきました。」と、男の子は答えました。
このおはなしの作者
※名前をクリックすると別ウィンドウでWikipediaの作者情報が表示されます。
読了ワーク
思い出してみよう
- 男の子と同い年くらいの女の子は、どんな子でしたか。
- 女の子が指を差して教えてくれた金の窓は誰の家でしたか。
- 男の子が覚えてきた「良いこと」とはどんなことですか。
調べてみよう
- “栃の実”はどんな実がなる植物でしょうか。
- “ビロード”とは何でしょうか。
単語ピックアップ
炉(ろ)
①いろり。②火を入れ、高温で物を燃やすための装置。
音読シートダウンロード
★この物語“丘の家②【後編】”の音読シートがダウンロードできます。
準備中
読了ワーク『思い出してみよう』の解答例
- 裸足で黒っ茶けた木綿の上着を着ている、金色の髪でまっ青に澄んだ目の女の子。
- 男の子の家。
- 自分の家にも、金の窓がついているということ。