ゆかいな話 PR

お母さんは知らない調理器具たちの揉め事の話

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やなかゆう
やなかゆう
村山籌子作『お鍋とやかんとフライパンのけんか』です
このおはなしはこんな人にオススメ
  • 読書の集中力があまり続かない。
  • 可愛らしい話が読みたい。
  • 3歳以上の子どもに読み聞かせしたい。

このおはなしの作者

村山籌子むらやまかずこ(1903年~1946年)

※名前をクリックすると別ウィンドウでWikipediaの作者情報が表示されます。

おはなしの始まりはここから

★この文章は3分で読めます

ようちゃんはお台所だいどころ大好だいすきでした。

なぜかというと、お料理りょうりにおいはほんとに美味おいしそうなんですもの。

それに、スプーンやフォークやお茶碗ちゃわんやおさらなどがカチン、カチン、チャラ、チャラチと可愛かわいおとをたてています。

それからもっと、いろんなおとがします。

なべなかではクッタ、クッタ、クッタとお煮立にたおとがしますし、ジャ、ジャ、ジャ、ジャと水道すいどういきおいよくながれるし、バッタン、バッタンと戸棚とだなけるおとこえます。

ようちゃんはいろんなおとくのも大好だいすきです。

あるのこと、お台所だいどころではお料理りょうりづくりにおかあさんがいそがしくはたらいていました。

そのうちにおかあさんはおなべと、やかんと、フライパンをにかけて、おにわてゆきました。

ようちゃんはそのすきにソーッとお台所だいどころはいりこみました。

ガスのはボウ、ボウ、ボウとみょうこえしてえて、そのうえにおなべとやかんがならんでいます。

「ようちゃん、もっとこっちへいらっしゃいな。おもしろいうたかせてあげましょう。」どこからかこんなこえがしましたので、ようちゃんはびっくりしてしまいました。

すると、やかんがこんなうたうたいはじめました。

「ブクッ、ブクッ、ブクッ、ブクッ。」それからそのうた段々だんだんおおきくなって、「プー、プー、シュッ、シュッ、プー、プー、シュッ、シュッ、シュッ」それから、もっと、もっとおおきく、「ブク、ブク、シュ、シュ、ブク、シュ、シュ。」

あまりおおきなこえしてうたったので、やかんのうえっかっていたふたまでが、「パクン、パクン、パクン、パクン」とんだり、はねたりのおおさわぎです。

「おやかんが、わたしうたかせているんだわ。だけどお煮立にたちすぎやしないかしらん、わたし心配しんぱいだわ、どうしましょう。」ようちゃんは心配しんぱいになりました。

「グツ、グツ、グツ、グツ、グツ、グツ、グツ」今度こんどはおなべもやかんのうたわせてうたいはじめました。

「グッタ、グツ、グッタ、グツ、グッタ、グッタ、グッタ。」段々だんだんおおきなこえしました。

「おなべわたしうたかしてくれているのね。だけどあんなこえして、煮立にたちすぎるとこまるわ。」

「ピチ、ピチ、ピチ、ピチ、ピチ、ピチ、ピチ。」ないこえをはりげて、フライパンまでがうたしました。

「チリ、ピチ、チリ、ピチ、チリ、ピチ、チリ。わたしだってうたおうとおもえば、うたえるのよ。チリ、チリ、ピチ、ピチ、チリ、ピチ、チリ。わたしこえはとてもいいこえでしょう?」

「ブク、ブク、グツ、グツ、ブク、グツ、ブク。わたしたちはこんなにおおきなこえせるのよ。おおきなこえをね。」とおなべとやかんはまたけずにがなりました。

ブク、ブク、シュッ、シュッ
パク、パク、パク
グツ、グツ、グタ、グタ
チリ、ピチ、チリ

なべとやかんとフライパンはそれぞれ夢中むちゅうになってうたっているうちに、さあ大変たいへん、みんなガバンガバンとえくりかえってしまいました。

プク、パク、グツ、ピチ、プク、パク、グツ。

ピチ、プク、パク、グツ、ピチ、プク、パク。

そのおときつけて、おかあさんは大慌おおあわてにあわてて、台所だいどころへかけこんで、おなべとやかんとフライパンをからきずりろしました。

なべとやかんとフライパンのけんかはこれでおしまいになりました。

かあさんはいました。

「ようちゃん、今度こんどから、おなべや、やかんやフライパンがブツブツしたらおかあさんにすぐらせなくちゃいけませんよ。」

わたしわるいんじゃないのよ。おなべとおやかんにけんかを仕掛しかけたフライパンがわるいのよ。そうでしょう! おかあさん?」

かあさんはなんにも御存ごぞんじないので可笑おかしそうにわらいました。

読了ワーク

思い出してみよう

  1. お母さんがいなくなった隙に、台所に来たよう子ちゃんはびっくりしました。それはなぜですか。
  2. 出ない声をはり上げて歌い出したのは誰ですか。
  3. お鍋とやかんとフライパンがそれぞれ夢中になって歌っているうちにどうなりましたか。
  4. お母さんから注意を受けたよう子ちゃんは、誰が悪いと言いましたか。

単語ピックアップ

がなり立てる(がなりたてる)

あたりに構わず、激しくわめき立てること。

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読了ワーク『思い出してみよう』の解答例

  1. どこからともなく、よう子ちゃんに話しかける声が聞こえたから
  2. フライパン
  3. みんなガバンガバンと煮えくりかえってしまった
  4. 「お鍋とやかんにけんかを仕掛けたフライパンが悪い」と言った。