やなかゆう
やなかゆう
村山籌子作『お姫さまと猟師』です
このおはなしはこんな人にオススメ
  • すぐに読めてさっぱりした読了感のある話を読みたい。
  • ひらがなが読める子どもが読むのにちょうど良い長さの話を探している。
  • 3歳ぐらいの子どもに読み聞かせしたい。

このおはなしの作者

村山籌子むらやまかずこ(1903年~1946年)

※名前をクリックすると別ウィンドウでWikipediaの作者情報が表示されます。

おはなしの始まりはここから

★この文章は2分で読めます

お姫ひめさまは朝あさから、大変たいへんごきげんが悪わるうございました。

そして、ぷりぷり怒おこっていらっしゃったので、いつもの可愛かわいいお姫ひめさまではなくて、年としをとったおばあさんのように、怖こわいお顔かおをしていらっしゃいました。

そこへ、お姫ひめさまの大好だいすきな猟師りょうしが、山やまから帰かえって参まいりました。そして、「お姫ひめさま、今日きょうは何なにも獲物えものがございませんでした。」と猟師りょうしが申もうしました。

「獲物えものがなかったの?」と、お姫ひめさまはおっしゃいました。そして、お泣なきになりました。

そこで、猟師りょうしが申もうしました。

「それがです。私わたしはドンと、この鉄砲てっぽうを打うちました。猟犬りょうけんのレオは、一目散いちもくさんに走はしって行いって、獲物えものを咥くわえて来きました。

まあ、おどろくではございませんか、おもちゃの熊くまなんです。そしてそのおもちゃの熊くまは死しんでいました。

また獣けものが出でて来きました。真まっ白しろな犬いぬぐらいある奴やつなんです。

これはと思おもって引ひき金がねを引ひきました。レオは飛とんでゆきました。

まあ、何なんとなさけないことでしょう。白しろい、小ちいちゃい犬いぬころでした。

仕方しかたがないので、谷たにへおりて行いって水みずを飲のもうと致いたしますと、目めの前まえに、ワニ程ほどもあるお魚さかなが泳およいでいるのでございます。

私わたしはすっかりお腹なかがへって、ぺこぺこでした。急いそいでそれをつかんで、口くちの中なかへ、ほうりこみました。

まあ何なんて硬かたい肉にくでしょう。私わたしの前歯まえばが四本よんほんともボコボコと折おれてしまいました。

お姫ひめさま、それは五寸ごすんくらいの鉄てつのおもちゃのお魚さかなでした。

私わたしは、なさけなくなって、ぐったりと大おおきい木きに体からだを持もたせ掛かけましたら、どしんと私わたしはひっくり返かえりました。

何なんにも、木きなんぞありませんでした。よくよく足あしもとを見みると、おもちゃの松まつの木きが転ころがっていました。」

この猟師りょうしはこう言いいながら、泣なきそうになりました。

大変年寄たいへんとしよりでしたから無理むりもありません。

「まあ、お前まえは馬鹿ばかねえ。なぜ、そのおもちゃを私わたしに持もって帰かえってくれなかったの。」とお姫さまがおっしゃいました。

猟師りょうしは、さも困こまったように胸むねをどきどきさせて涙なみだをこぼしました。

「お姫ひめさま。私わたしはそう思おもいました。そして、それを拾ひろい上あげて、この網あみのなかへ入いれようと致いたしますと、みんな網あみの中なかへは入はいらず、外そとへこぼれてしまいました。お姫ひめさま、それは、たしかに夢ゆめだったんでございます。」

お姫ひめさまは大おおきい声こえでお笑わらいになりました。

美うつくしいお姫ひめさまが、ごきげんを直なおしたので、猟師りょうしはやっと安心あんしんして胸むねをなでおろしました。

そして、二人ふたりでいつまでも笑わらいました。

読了ワーク

思い出してみよう

  1. きげんが悪く、怒っていたお姫さまはどんな顔をしていたでしょう。
  2. 猟師から獲物が無かったと聞いたお姫さまはどうしましたか。
  3. 猟師の連れていた猟犬の名前は何でしょう。

調べてみよう

  1. “5寸”はどのくらいの長さでしょう。
  2. “猟師”には別の言い方もあります。どんな言い方があるか調べてみましょう。

単語ピックアップ

一目散(いちもくさん)

他のことに気を取られることなく、一心に走るさま。

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読了ワーク『思い出してみよう』の解答例

  1. 年をとったおばあさんのように、怖い顔。
  2. 「獲物がなかったの?」と言って泣いた。
  3. レオ