- かわいらしい世界観の話が読みたい。
- 猫が主役の話が読みたい。
- 3歳以上の子どもに読み聞かせしたい。
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おはなしの始まりはここから
★この文章は2分で読めます
あるところに、お猫さんがいました。
このお猫さんは、大変気難し屋で、年中怒ってばかりいるので、誰も付き合ってくれません。
ある日、椅子に腰かけて新聞を読んでいましたが、眠くなって寝こんでしまいました。
そこへ、この間生まれたばかりで、もうチョコチョコ走り回っているネズミさんがやって来ました。
お猫さんが気難し屋だなんてことは、まだ知りません。
お猫さんの椅子に這い上がって、お猫さんのお鼻をひとかじりしました。
そこには、甘いおいしいゼリーのかけらがくっ付いていたからです。
その時、お猫さんは嫌という程、お鼻をかじられた夢を見ました。
よく見ると、近所の動物園の檻の中にいる虎さんが、爪をとんがらかして、お鼻の先に喰いついていました。
お猫さんは、びっくりして目が覚めました。
お猫さんは腰をぬかして「わあ、虎にかまれた。虎だ、虎だ、助けてくれー。」と、大きな声を出しました。
近所のお猫さんや、うさぎさん、犬さん、あひるさん、羊さん、牛さんたちは、腹が立ってはいましたが、虎さんにかみ殺されては、あんまり可哀想だと思って、ピストルや鉄砲をさげて飛んで来ました。
消防自動車は火事かと思って、ピューピュー四方から走ってきました。
ところが、虎さんなどはどこにもおりません。
ベットの下や、敷物まではがして見ましたが、足跡もありません。
みんなとても怒りました。そしてお猫さんの家中を土足で踏んづけて帰って行きました。
ところが、お猫さんの家のお隣はネズミさんのお家です。
ネズミさんの赤ちゃんは、お猫さんのお家の大さわぎが、自分のせいだということは知りません。
夕方になって、ノコノコお家へ帰って来て、お母さんに言いました。
「僕、さっき、お猫さんのおじさんの鼻の先をかじったの。だって、先っちょに、ゼリーがついてたんだもの。あんなゼリー、うちでもこさえてね。」
ネズミさんのお母さんはびっくりいたしました。
けれども、おしまいにはおかしくなって、家にじっとしていられません。
早速近所の家へこのことをおしゃべりして歩きました。
街中は大騒ぎです。
みんな、窓から首を出して「アハハハハハ」と大笑いいたしました。
お猫さんは、その時牛乳を飲んでいましたが、恥かしくなって、喉につかえて、飲むことができません。
新聞社の写真係の犬さんが、窓からそっとこのしかめっ面のお猫さんを写真に撮ってて、あくる日の新聞にのせました。
お猫さんはこの写真を見て、自分ながらそのしかめっ面がおかしくなったので、大笑いいたしました。
あんまり笑ったので、その時からお猫さんは怒るということを忘れてしまって、とてもニコニコしたいいお猫さんになって、お仕舞には街のニコニコクラブの会長さんになったそうです。
読了ワーク
思い出してみよう
- お猫さんはどんな性格の猫だったでしょうか。
- お猫さんはだれに鼻をかじられたのでしょうか。
- どうして鼻をかじられたのでしょうか。
調べてみよう
- 『喰』と『食』と違いは何でしょうか。
単語ピックアップ
1.気難し屋(きむずかしや)
機嫌のとりにくい人。
2.仕舞(しまい)
物事の終わり。
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読了ワーク『思い出してみよう』の解答例
- 大変気難し屋な性格で年中怒っている猫。
- この間生まれたばかりで、もう走り回っているネズミさん。
- お猫さんの鼻に甘いおいしいゼリーのかけらが付いていたから。