- すぐに読めてさっぱりした読了感のある話を読みたい。
- ひらがなが読める子どもが読むのにちょうど良い長さの話を探している。
- 3歳ぐらいの子どもに読み聞かせしたい。
このおはなしの作者
※名前をクリックすると別ウィンドウでWikipediaの作者情報が表示されます。
おはなしの始まりはここから
★この文章は2分で読めます
お姫さまは朝から、大変ごきげんが悪うございました。
そして、ぷりぷり怒っていらっしゃったので、いつもの可愛いお姫さまではなくて、年をとったおばあさんのように、怖いお顔をしていらっしゃいました。
そこへ、お姫さまの大好きな猟師が、山から帰って参りました。そして、「お姫さま、今日は何も獲物がございませんでした。」と猟師が申しました。
「獲物がなかったの?」と、お姫さまはおっしゃいました。そして、お泣きになりました。
そこで、猟師が申しました。
「それがです。私はドンと、この鉄砲を打ちました。猟犬のレオは、一目散に走って行って、獲物を咥えて来ました。
まあ、おどろくではございませんか、おもちゃの熊なんです。そしてそのおもちゃの熊は死んでいました。
また獣が出て来ました。真っ白な犬ぐらいある奴なんです。
これはと思って引き金を引きました。レオは飛んでゆきました。
まあ、何となさけないことでしょう。白い、小ちゃい犬ころでした。
仕方がないので、谷へおりて行って水を飲もうと致しますと、目の前に、ワニ程もあるお魚が泳いでいるのでございます。
私はすっかりお腹がへって、ぺこぺこでした。急いでそれをつかんで、口の中へ、ほうりこみました。
まあ何て硬い肉でしょう。私の前歯が四本ともボコボコと折れてしまいました。
お姫さま、それは五寸くらいの鉄のおもちゃのお魚でした。
私は、なさけなくなって、ぐったりと大きい木に体を持たせ掛けましたら、どしんと私はひっくり返りました。
何にも、木なんぞありませんでした。よくよく足もとを見ると、おもちゃの松の木が転がっていました。」
この猟師はこう言いながら、泣きそうになりました。
大変年寄りでしたから無理もありません。
「まあ、お前は馬鹿ねえ。なぜ、そのおもちゃを私に持って帰ってくれなかったの。」とお姫さまがおっしゃいました。
猟師は、さも困ったように胸をどきどきさせて涙をこぼしました。
「お姫さま。私はそう思いました。そして、それを拾い上げて、この網のなかへ入れようと致しますと、みんな網の中へは入らず、外へこぼれてしまいました。お姫さま、それは、たしかに夢だったんでございます。」
お姫さまは大きい声でお笑いになりました。
美しいお姫さまが、ごきげんを直したので、猟師はやっと安心して胸をなでおろしました。
そして、二人でいつまでも笑いました。
読了ワーク
思い出してみよう
- きげんが悪く、怒っていたお姫さまはどんな顔をしていたでしょう。
- 猟師から獲物が無かったと聞いたお姫さまはどうしましたか。
- 猟師の連れていた猟犬の名前は何でしょう。
調べてみよう
- “5寸”はどのくらいの長さでしょう。
- “猟師”には別の言い方もあります。どんな言い方があるか調べてみましょう。
単語ピックアップ
一目散(いちもくさん)
他のことに気を取られることなく、一心に走るさま。
音読シートダウンロード
★この物語“お姫さまと猟師”の音読シートがダウンロードできます。
[download id=”930″]
読了ワーク『思い出してみよう』の解答例
- 年をとったおばあさんのように、怖い顔。
- 「獲物がなかったの?」と言って泣いた。
- レオ