- 読書の集中力があまり続かない。
- 読書習慣を身につけようとしている。
- シンプルで分かりやすい話が読みたい。
- 3歳以上の子どもに読み聞かせしたい。
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おはなしの始まりはここから
★この文章は2分で読めます
山吉は、山奥の木樵の子でありました。
小さい時から、山の獣や鳥たちと、仲良く遊んで育ちました。
ある日、山吉の友だちで一羽の大きな鷹が、山吉を広い翼に乗せ、飛行機のように空を飛んで、しばらく高い木の上で、休みました。
その時、遥か遠くの方に、緑の水が、限りなく広く続いた世界が見えました。
山吉は、生まれてはじめてこんなめずらしい景色を見ましたので、不思議でたまりません。
鷹に、あれはどこかと、尋ねました。
あれは海という水の世界だと、鷹は答えました。それから、あそこには、魚というきれいな泳ぐものがいて、それは、それは、面白いところだと鷹は、山吉へ教えました。
山吉は、その話を聞いて、すぐに、海というところへ行きたくてたまらなくなりました。
そして、鷹に、どうかあそこへ連れて行ってくれと、頼みました。
鷹もとうとう断りかねて、そのまま翼に山吉を乗せ、海を目指して飛んで行きました。
海の真ん中に、大きな岩がありました。
鷹は、山吉をそこへ下ろし、しばらく空を飛んでから、また様子を見に来る約束をしました。
山吉は、そこらで楽しそうに泳いでいる魚に言いました。
『皆さん、僕と遊んで下さい』と。
すると魚たちは、それではここまで泳いで来なさい、と山吉に言います。
山吉は困って、「僕は山で育ったので泳ぎは知らない。」と申しますと、魚たちは、さもさも馬鹿にするように、笑って「泳ぎも知らないで海に来るなんて、君は大馬鹿さんだ。」と言って相手にしてくれませんので、山吉は今度は波に向かって、「僕を泳がせて下さい。」と頼みました。
すると波は、山の子どもが海に来るなんて生意気だと怒って、山吉を一巻き巻いて岩の上へ叩きつけました。
山吉は痛くておいおい泣いていますと、鷹が迎えに来ましたので、急いで山へ連れて帰ってもらいました。
山では山吉と仲良しのいろいろな鳥や獣が、山吉の帰りを、たいそう喜びまして、歌を歌うやら、踊りを踊るやらして歓迎しました。
山吉は、海で、酷い目に遭った話をし、山で育った自分はいつまでも、山で君たちの友だちで暮らす、と申しますと鳥や獣たちは大喜びで今日から山の子どもの山吉さんを、僕たちの大将さんにしましょうと言って、山のお花を摘み集め、山吉の肩や胸にいっぱい飾り付けました。
それが山のお日さまに輝いて、ちょうど勲章のように見えました。
読了ワーク
思い出してみよう
- 鷹の翼に乗った山吉は、遥か遠くの方にどんな世界を見ましたか。
- 海について、鷹は山吉にどんなところだと教えましたか。
- 山吉は魚に遊んで下さいと言いましたが、魚は相手にしてくれませんでした。それはなぜですか。
調べてみよう
- 『尋ねる』と『訪ねる』の違いは何でしょうか。
単語ピックアップ
1.木樵(きこり)
森林の木を切ること。また、それを職業にして生計を立てている人のこと。
2.生意気(なまいき)
自分の地位や能力をわきまえず、出過ぎた態度・行動をするさま。
3.勲章(くんしょう)
①功績を称えられ、国から授けられる記章のこと。②人に自慢できるような実績や誇りを例えていう言葉。
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準備中
読了ワーク『思い出してみよう』の解答例
- 緑の水が限りなく広く続いた世界。
- 魚というきれいな泳ぐものがいて、それはそれは面白いところだと教えた。
- 山吉が泳ぐことを知らなかったから。