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オウムが大好きな主人のために頑張る話②

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やなかゆう
やなかゆう
小野浩作『金のくびかざり②【後編】』です
このおはなしはこんな人にオススメ
  • クリスマスにちなんだ、楽しい話が読みたい。
  • 3歳以上の子どもに読み聞かせしたい。

このおはなしの作者

小野浩おのひろし(1894年~1933年)

※名前をクリックすると別ウィンドウでコトバンクの作者情報が表示されます。

前回までのあらすじ

よし子さんをはじめ、ネコ、イヌ、オウムは明日のクリスマスを心待ちにしていた。そしてその晩、サンタクロースのおじいさんがプレゼントを持ってやって来る。

しかし、肝心のよし子さんへのプレゼントがどうしても見つからない。

その様子を見ていたイヌとネコは、心配そうに顔を見合わせるのだった。

オウムが大好きな主人のために頑張る話①【この文章は3分で読めます】小野浩作、「金のくびかざり」の前編です。物語の漢字全てにルビが振ってあります。また、ルビ付きの1分で音読できるシートもダウンロードできます。...

おはなしの始まりはここから

★この文章は3分で読めます

ネコやイヌやオウムは、それこそ、がっかりしてしまいました。

と、ふいに、「おお、そうだ。」と、おじいさんは、むねをたたきました。

おもしたよ。あれはわしのうちのコウノトリのくびにかけてある。かけたままわすれてたんだよ。」

イヌとネコは、ためいきをついて、おじいさんのかおつめました。

「これからりにかえっては、ほかのどものところへまわれないし、さて、どうしたらいいだろうな。」

ぼくがとりにいきましょうか。」と、イヌがいました。

ぼくもネコもはや四本足よんほんあしがありますよ。」

「だめだだめだ。わしのうちはとおいとおいそらうえなんだから、四本足よんほんあしだろうが六本足ろっぽんあしだろうが、これからって、がたまでにかえってることはとても出来できない。」

「では、あたしがとんでまいりましては?」と、オウムがかごなかから、ばたきをしていました。

「なるほど。」おじいさんは、にこにこうなずきました。

「おまえならうかもしれないね。」

おじいさんは、さっそく、オウムをかごなかからしました。

そして、みんなと一緒いっしょ門口かどぐちてオウムにおしえました。

「ほら、ごらん、ずうッとこうに、おおきなほしみっひかってるだろう。わしのうちは、その一番左いちばんひだりほしのすぐうしろにあたるんだよ。」

オウムは、さっとちました。

こんなにしてちからいっぱい、つばさをのばしてぶのは何年なんねんぶりでしょう。

オウムは、一気いっきたかくとびがって、のようにかけしました。

はてしもなくとおい、ながながいつめたいみちでしたけれど、オウムは、とうとう、まよいもしないで、サンタクローズのおうちにつきました。

そのおうちの、ふわふわしたしろ毛皮けがわ屋根やねうえに、あかい、きれいな煙突えんとつが、にょきりとっていました。

「おはいんなさい。」と、まどにまたたいているあかりいました。

「おへやのなかはあったかよ。」

オウムはへとへとにつかれきっていました。

でも、があけないうちに……よしさんがをさまさないうちに、かえらなければならないので、ちっとでもぐずぐずしてはいられません。

「おうちのコウノトリさんは、どこにおいでです。おじいさんのお使つかいで、くびかざりをいただきにまいりました。」といました。

「ああ、くびかざりッて、これでしょう。」と、屋根やねのてっぺんからこえがして、おじいさんに可愛かわいがられている、コウノトリが、くびにきらきらした、きんのくさりをさげて、ました。

「さあ、もっていらッしゃい。おじいさんがわすれていったのですよ。」と、コウノトリはにこにこして、くさりをはずして、オウムの、くびにかけてくれました。

オウムは、おおよろこびで、おじぎをして、「さようなら。あかりさんにもさようなら。」とって、どんどんかけてかえりました。

「よしさんは、まだおざめじゃアないでしょうね。」と、オウムは、おうちへかえるなり、いきをはずませてききました。

「ああまだだよ。もらってた?」と、イヌとネコが、をひからせてききました。

「ごらんなさいよ。」と、オウムは、くびのくさりをせました。

「ほう、えらいえらい。」

「ああ、よかった。」と、イヌとネコは、かわりがわりいました。

ぼくなんか、もうオウムさんのまえではいばれないよ。」と、イヌはさっき、オウムをばかにしたのを、あやまるようにいました。

オウムは、にこにこわらいながら、よしさんのまくらもとへ、くびかざりをそっと、おいときました。

イヌや、ネコや、あるき人形にんぎょう白熊しろくまへのおくりものは、おじいさんがちゃんとそろえて、よしさんのベッドのしたへおいていったのです。

「さあ、もう、おざのおうたうたってもいい時間ね。」と、オウムは、そうって、うつくしいこえで、夜中よなかにつくったあたらしい、あさのおうたうたいました。

ひとりでに、ながれてる、あかるい、ほがらかなそのうたふし・・は、サンタクローズのおじいさんからのおくりものでした。

よしさんは、そのおうたをさましました。

よしさんが、まくらもとにちいさなきんのくびかざりをつけて、おどりがってよろこびました。

よしさんにも、イヌにもネコにも、オウムにも、それはそれはたのしいクリスマスでした。

読了ワーク

思い出してみよう

  1. サンタのおじいさんは、よし子さんへのおくりものをどこへ忘れてきたと言いましたか。
  2. サンタのおじいさんが忘れてしまった、よし子さんへのおくりものは、誰が取りに行くことになりましたか。

調べてみよう

  • この物語は1955(昭和30)年に発行されました。その年に起こった出来事にはどんなものがあるでしょうか。

音読シートダウンロード

★この物語“金のくびかざり②【後編】”の音読シートがダウンロードできます。
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読了ワーク『思い出してみよう』の解答例

    1. サンタクロースのおじいさんの家にいるコウノトリのくびにかけて忘れた。
やなかゆう
やなかゆう
そりゃ忘れるわ
  1. オウム