- クリスマスにちなんだ、楽しい話が読みたい。
- 3歳以上の子どもに読み聞かせしたい。
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前回までのあらすじ
よし子さんをはじめ、ネコ、イヌ、オウムは明日のクリスマスを心待ちにしていた。そしてその晩、サンタクロースのおじいさんがプレゼントを持ってやって来る。
しかし、肝心のよし子さんへのプレゼントがどうしても見つからない。
その様子を見ていたイヌとネコは、心配そうに顔を見合わせるのだった。
おはなしの始まりはここから
★この文章は3分で読めます
ネコやイヌやオウムは、それこそ、がっかりしてしまいました。
と、ふいに、「おお、そうだ。」と、おじいさんは、むねをたたきました。
「思い出したよ。あれはわしの家のコウノトリのくびにかけてある。かけたまま忘れて出て来たんだよ。」
イヌとネコは、ためいきをついて、おじいさんの顔を見つめました。
「これから取りに帰っては、ほかの子どものところへまわれないし、さて、どうしたらいいだろうな。」
「僕がとりにいきましょうか。」と、イヌが言いました。
「僕もネコも早い四本足がありますよ。」
「だめだだめだ。わしのうちはとおいとおい空の上なんだから、四本足だろうが六本足だろうが、これから行って、明け方までに帰って来ることはとても出来ない。」
「では、あたしがとんでまいりましては?」と、オウムが籠の中から、羽ばたきをして言いました。
「なるほど。」おじいさんは、にこにこうなずきました。
「おまえなら間に合うかもしれないね。」
おじいさんは、さっそく、オウムを籠の中から出しました。
そして、みんなと一緒に門口に出てオウムにおしえました。
「ほら、ごらん、ずうッと向こうに、大きな星が三つ光ってるだろう。わしの家は、その一番左の星のすぐうしろにあたるんだよ。」
オウムは、さっと飛び立ちました。
こんなにして力いっぱい、つばさをのばして飛ぶのは何年ぶりでしょう。
オウムは、一気に高くとび上がって、矢のようにかけ出しました。
はてしもなく遠い、長い長いつめたい道でしたけれど、オウムは、とうとう、まよいもしないで、サンタクローズのお家につきました。
そのお家の、ふわふわした白い毛皮の屋根の上に、赤い、きれいな煙突が、にょきりと立っていました。
「おはいんなさい。」と、窓にまたたいている灯が言いました。
「おへやの中はあったかよ。」
オウムはへとへとにつかれきっていました。
でも、夜があけないうちに……よし子さんが目をさまさないうちに、帰らなければならないので、ちっとでもぐずぐずしてはいられません。
「おうちのコウノトリさんは、どこにおいでです。おじいさんのお使いで、くびかざりをいただきにまいりました。」と言いました。
「ああ、くびかざりッて、これでしょう。」と、屋根のてっぺんから声がして、おじいさんに可愛がられている、コウノトリが、くびにきらきらした、金のくさりをさげて、出て来ました。
「さあ、もっていらッしゃい。おじいさんがわすれていったのですよ。」と、コウノトリはにこにこして、くさりをはずして、オウムの、くびにかけてくれました。
オウムは、大よろこびで、おじぎをして、「さようなら。灯さんにもさようなら。」と言って、どんどんかけてかえりました。
「よし子さんは、まだお目ざめじゃアないでしょうね。」と、オウムは、おうちへかえるなり、いきをはずませてききました。
「ああまだだよ。もらって来た?」と、イヌとネコが、目をひからせてききました。
「ごらんなさいよ。」と、オウムは、くびのくさりを見せました。
「ほう、えらいえらい。」
「ああ、よかった。」と、イヌとネコは、かわりがわり言いました。
「僕なんか、もうオウムさんのまえではいばれないよ。」と、イヌはさっき、オウムをばかにしたのを、あやまるように言いました。
オウムは、にこにこ笑いながら、よし子さんの枕もとへ、くびかざりをそっと、おいときました。
イヌや、ネコや、あるき人形や白熊へのおくりものは、おじいさんがちゃんとそろえて、よし子さんのベッドの下へおいていったのです。
「さあ、もう、お目ざのお歌を歌ってもいい時間ね。」と、オウムは、そう言って、うつくしい声で、夜中につくったあたらしい、朝のお歌を歌いました。
ひとりでに、流れて出て来る、あかるい、ほがらかなその歌のふしは、サンタクローズのおじいさんからのおくりものでした。
よし子さんは、そのお歌で目をさましました。
よし子さんが、まくらもとに小さな金のくびかざりを見つけて、おどり上がってよろこびました。
よし子さんにも、イヌにもネコにも、オウムにも、それはそれは楽しいクリスマスでした。
読了ワーク
思い出してみよう
- サンタのおじいさんは、よし子さんへのおくりものをどこへ忘れてきたと言いましたか。
- サンタのおじいさんが忘れてしまった、よし子さんへのおくりものは、誰が取りに行くことになりましたか。
調べてみよう
- この物語は1955(昭和30)年に発行されました。その年に起こった出来事にはどんなものがあるでしょうか。
音読シートダウンロード
★この物語“金のくびかざり②【後編】”の音読シートがダウンロードできます。
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読了ワーク『思い出してみよう』の解答例
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- サンタクロースのおじいさんの家にいるコウノトリのくびにかけて忘れた。
- オウム