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お姫さまの荒療治で救われた王さまの話②

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やなかゆう
やなかゆう
グリム兄弟作『カエルの王さま②【中編】』です
このおはなしはこんな人にオススメ
  • グリム童話が好き。
  • つっこみは他の追随を許さない。
  • 人と意見を交換しながら読みたい。

このおはなしの作者

【作者】
グリム兄弟きょうだい
・ヤーコプ・グリム(1785年~1863年)
・ヴィルヘルム・カール・グリム(1786年~1859年)
・ルートヴィヒ・エーミール・グリム(1790年~1863年)
【訳】
矢崎源九郎やざきげんくろう(1921年~1967年)

※名前をクリックすると別ウィンドウでWikipediaの作者情報が表示されます。

前回までのあらすじ

お姫さまの荒療治で救われた王さまの話①【この文章は3分で読めます】グリム兄弟作、「カエルの王さま」の前編です。物語の漢字全てにルビが振ってあります。また、ルビ付きの1分で音読できるシートもダウンロードできます。 ...

おはなしの始まりはここから

★この文章は4分で読めます

カエルは、おひめさまから約束やくそくしてもらいますと、あたまをひっこめて、みずのなかにもぐっていきました。

それから、しばらくすると、またかびあがってきました。

れば、たしかに、きんのまりをくちにくわえています。カエルは、そのまりをくさのなかにぽんとほうしました。

ひめさまは、じぶんのうつくしいまりがもどってたのをますと、うれしくってうれしくって、それをひろいあげるなり、そのまま、とんでってしまいました。

ってください、ってください。」と、カエルは大声おおごえでさけびました。

「わたしも一緒いっしょにつれてってください。わたしは、そんなにはしれないんです。」

けれども、カエルがうしろのほうから、いくらおおきなこえで、ギャア、ギャア、いても、わめいても、なんにもなりませんでした。

ひめさまはカエルがさけぶこえにはみみもかさず、いそいでおしろへかけてきました。そして、かわいそうなカエルのことなんか、すぐにわすれてしまいました。

ですから、カエルのほうは、もとのいずみのなかに、すごすごとかえっていくよりほかはありませんでした。

そのあくるのことでした。

ひめさまが、おうさまをはじめ、ご家来けらいひとたちと一緒いっしょに、みんなで食卓しょくたくについて、きんのおさらでごちそうをべていますと、なにやら、ピチャ、ピチャ、ピチャ、ピチャ、と、大理石だいりせき階段かいだんをはいあがってくるおとがしました。

そして、うえまであがりきりますと、トントンとをたたいて、「おひめさま、いちばんしたのおひめさま、どうかこのけてください。」と、おおきなこえいました。

そこで、おひめさまはかけていって、だれたのかしら、とおもいながら、けました。

と、おどろいたことに、そとには、昨日きのうのカエルがすわっているではありませんか。それをるなり、おひめさまはバタンとめて、いそいで食卓しょくたくせきにもどりました。

でも、むねのなかは心配しんぱい心配しんぱいでたまりません。

おうさまは、おひめさまのむねのどきどきしているのをて、「ひめや。なにがこわいんだね。のそとに大入道おおにゅうどうでもて、おまえをさらってこうとでもしているのかい。」と、たずねました。

「あら、ちがうわ。」と、おひめさまはこたえました。

大入道おおにゅうどうなんかじゃないの。いやらしいカエルなのよ。」

「そのカエルが、おまえになんのようがあるんだね。」

「それはね、おとうさま、昨日きのう、あたしがもりのなかのいずみそばすわって、あそんでいたら、きんのまりがみずのなかにちてしまったの。それで、あたしがいていると、カエルがてきて、まりをってきてくれたの。そのとき、カエルがあんまりたのむものだから、じゃあ、おともだちにしてあげるわって、約束やくそくしちゃったのよ。だって、まさかカエルが、みずのなかからてこようとはおもわなかったんですもの。それがね、いま、あのとおりやってきて、なかれてくれってってるのよ。」

そのとき、またをたたくおとがして、おおきなこえがしました。

いちばんしたのおひめさま
どうかけてくださいな
すずしいいずみのかたわらで
きのう約束やくそくしたことを
あなたはわすれちゃいないでしょう
いちばんしたのおひめさま
どうかけてくださいな

それをきますと、おうさまはいました。

「いちど約束やくそくしたことは、かならずまもらなければいけないよ。さあ、はやって、けておやり。」

ひめさまはってって、けてやりました。

とたんに、カエルはピョンとんでて、それからずっとおひめさまのあしもとにくっついて、いすのところまでました。

カエルはそこにすわんで、「わたしもそのいすのうえにあげてください。」と、いました。

ところが、おひめさまは、ぐずぐずしていたものですから、とうとうおうさまから、そうしておやり、とわれてしまいました。カエルはいすのうえせてもらいますと、今度こんどは、食卓しょくたくうえせてくれ、としました。

そうして、食卓しょくたくうえせてもらいますと、「その食卓しょくたくのおさらのものを、ふたりで一緒いっしょべられるように、もっとこっちへよこしてください。」と、いました。

ひめさまはそのとおりにしてやりましたが、いやいやでたまらない様子ようすです。

カエルはいかにもおいしそうにべていましたが、おひめさまのほうは、ひとくちごとに、のどにつかえるようなおもいでした。

カエルはべるだけべてしまいますと、「ああ、おなかがいっぱいになって、くたびれてしまいました。さあ、わたしをあなたのお部屋へやへつれてってください。そうして、ふたりでられるように、あなたのかわいらしいきぬのベッドをきちんとなおしてください。」と、いました。

お姫さまの荒療治で救われた王さまの話③【この文章は3分で読めます】グリム兄弟作、「カエルの王さま」の後編です。物語の漢字全てにルビが振ってあります。また、ルビ付きの1分で音読できるシートもダウンロードできます。...

読了ワーク

思い出してみよう

  1. 金のまりを受け取ったお姫さまはどうしましたか。
  2. あくる日、カエルは大理石の階段をあがってやって来ました。何のために来たのでしょうか。

調べてみよう

  • 大理石とはどんな石でしょうか。調べてみましょう。

音読シートダウンロード

★この物語“カエルの王さま②【中編】”の音読シートがダウンロードできます。
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読了ワーク『思い出してみよう』の解答例

  1. 金のまりを拾いあげるなり、そのまま行ってしまった。
  2. お姫さまとの約束のため。