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青ひげを持つ男の恐ろしい正体を知った娘の話②

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やなかゆう
やなかゆう
シャルル・ペロー作『青ひげ』の中編です
このおはなしはこんな人にオススメ
  • 怖い話は得意。
  • 怖い話が好きな子ども(年長)に読み聞かせしたい。

このおはなしの作者

【作者】
シャルル・ペロー(1628年~1703年)

【訳】
楠山正雄くすやままさお(1884年~1950年)

※名前をクリックすると別ウィンドウでWikipediaの作者情報が表示されます。

前回までのあらすじ

青ひげを持つ男の恐ろしい正体を知った娘の話①【この文章は3分で読めます】シャルル・ペロー作、「青ひげ」の前編です。物語の漢字全てにルビが振ってあります。また、ルビ付きの1分で音読できるシートもダウンロードできます。 ...

おはなしの始まりはここから

★この文章は3分で読めます

すると、奥方おくがたりあいや、おともだちは、お使つかいをも、もどかしがって、我先われさきあつまってました。

よめさきの、立派りっぱまいの様子ようすが、どんなだか、どのくらい、みんなはたがっていたでしょう。

ただ主人しゅじんうちにいるときは、れいあおひげがこわくて、だれりつけなかったのでございます。

みんなは、居間いま客間きゃくま大広間おおひろまから、小部屋こべや衣装部屋いしょうべやと、かたっぱしからあるきましたが、いよいよ奥深おくぶかくほど、だんだん立派りっぱにも、綺麗きれいにもなっていくようでした。

とうとうおしまいに、いっぱい家具かぐのつまった、おおきな部屋へやました。

そのなかの道具どうぐものは、この屋敷やしきうちでも、一等いっとう立派りっぱものでした。

壁掛かべかけでも、寝台ねだいでも、長椅子ながいすでも、箪笥たんすでも、つくえや、椅子いすでも、あたまのてっぺんから、あし爪先つまさきまでうつ姿見すがたみでも、それはむやみに沢山たくさんあって、むやみにぴかぴかひかって、綺麗きれいなので、だれかれも、ただもう感心かんしんして、ふうと、ためいきをつくだけでした。

姿見すがたみなかには、水晶すいしょうふちいたものもありました。

金銀きんぎんめっきのふちいたものもありました。

なにもかも、このうえもなく結構けっこうずくめなものばかりでした。

きゃくたちは、まさかこれほどまでともおもわなかった、おともだちのうんさに、いまさら感心かんしんしたり、うらやましがったり、いつまでもてしがありませんでしたが、ご主人しゅじん奥方おくがたは、いくら立派りっぱなお部屋へやや、かざけをあるいても、じれったいばかりで、一向いっこうにおもしろくもたのしくもありませんでした。

それというのが、おっと出掛でがけにきびしくいつけておいていった、地下室ちかしつ秘密ひみつ小部屋こべやというのが、始終しじゅう、どうもになってになって、ならないからでございます。

いけないとうものは、とかくたいのが、人間にんげんのくせですから、そのうちいよいよ、我慢がまんがしきれなくなってくると、この奥方おくがたは、もうおきゃくたいして、失礼しつれいのなんのということを、おもってはいられなくなって、ひとりそっとうら梯子ばしごりて、二度にど三度さんども、くびほねれたかとおもうほど、はげしく、はしらはりにぶつかりながら、夢中むちゅうしてきました。

でも、いよいよ小部屋こべやまえってみると、さすがにおっときびしいいつけを、はっとおもしました。

それにそむいたら、どんな不幸ふしあわせなにあうかしれない、そうおもって、しばらくためらいました。

でも、さそいのが、ぐんぐんつよるので、それをはらいきることは、できませんでした。

そこで、ちいさいかぎって、ぶるぶるふるえながら、小部屋こべやけました。

まどまっているので、はじめはなんにもえませんでした。

そのうち、だんだん、暗闇くらやみれてくると、どうでしょう、そこのゆかうえには、いっぱいかたまりがこびりついていて、五六人ごろくにんおんな死骸しがいを、ならべてかべてかけたのが、うえうつってえていました。

これは、みんなあおひげが、ひとりひとり、結婚けっこんしたあところしてしまったおんなたちの死骸しがいでした。

これをたとたん、奥方おくがたは、あっとったなり、いきまって、がすくんでうごけなくなりました。

そうして、鍵穴かぎあなからいて、っていたかぎが、いつか、すべりちたのもらずにいたくらいです。

しばらくして、やっとわれかえると、奥方おくがたあわてて、かぎひろげて、めて、いそいで二階にかい居間いまけてかえると、ほっといきをつきました。

でも、いつまでもむねがどきどきして、正気しょうきもどれないようでした。

ると、かぎいているので、二三にさん、それをいてろうとしましたが、どうしてもれません。

みずにつけてあらってみても、せっけんとみがずなをつけて、砥石といしでごしごしこすってみても、一向いっこうれる気配けはいはありません。

いたあとは、いよいよくなるばかりでした。

それもそのはず、このかぎ魔法まほうかぎだったのです。

ですから、表側おもてがわほうとしたかとおもうと、それは裏側うらがわにいつのにか余計よけいく、にじしていました。

青ひげを持つ男の恐ろしい正体を知った娘の話③【この文章は5分で読めます】シャルル・ペロー作、「青ひげ」の後編です。物語の漢字全てにルビが振ってあります。また、ルビ付きの1分で音読できるシートもダウンロードできます。 ...

読了ワーク

思い出してみよう

  1. ご主人の奥方は、部屋にある沢山の綺麗な物を見て歩いても、楽しいとは思えませんでした。それはどうしてでしょうか。
  2. 小部屋の鍵に付いた血は何をしても取れませんでした。それはなぜでしょうか。

調べてみよう

  1. “梁”とは何でしょうか。
  2. やなかゆう
    やなかゆう
    最近は“梁”が見えない建築物が多いから、梁と言われてもピンとこない人も多いかもね
    おはなちゃん
    おはなちゃん
    柱と並んで重要な部分だよね
  3. 『跡』と『痕』の違いは何でしょうか。

単語ピックアップ

1.感心(かんしん)

(立派なものや綺麗なものを見て)心を動かされること。

2.正気(しょうき)

確かな意識があること

3.砥石(といし)

物を磨くための道具

音読シートダウンロード

★この物語“青ひげ②【中編】”の音読シートがダウンロードできます。
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読了ワーク『思い出してみよう』の解答例

  1. 地下室の秘密の小部屋のことが気になって仕方がなかったから。
  2. 魔法の鍵だったから。