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青ひげを持つ男の恐ろしい正体を知った娘の話①

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このおはなしはこんな人にオススメ

●怖い話は得意。
●怖い話が好きな子ども(年長)に読み聞かせしたい。

やなかゆう
やなかゆう
私はこの話を『グリム名作劇場』というアニメで知りました。子どもの頃見て、怖い話だったと覚えています

このおはなしの作者

【作者】
シャルル・ペロー(1628年~1703年)

【訳】
楠山正雄くすやままさお(1884年~1950年)

※名前をクリックすると別ウィンドウでWikipediaの作者情報が表示されます。

おはなしの始まりはここから

★この文章は3分で読めます

むかしむかし、まち田舎いなかに、おおきな屋敷やしきをかまえて、きんぼんぎんのおさらって、きれいなおかざり縫箔ぬいはくのある、椅子いすつくえと、それに、総金そうきんりの馬車ばしゃまでもっているおとこがありました。

こんなしあわせな身分みぶんでしたけれど、ただひとつ、うんわるいことは、おそろしいあおひげをやしていることで、それはどこのおくさんでも、むすめさんでも、このおとこかおて、あっとって、さないものはありませんでした。

さて、このおとこ屋敷やしきちかくに、身分みぶんおくさんがあって、ふたり、うつくしいむすめさんをもっていました。

このおとこは、このむすめさんのうちどちらでもいいから、ひとり、およめさんにもらいたいとって、たびたび、このおくさんをせめました。

けれど、ふたりがふたりとも、むすめたちは、このおとこを、それはそれはきらっていて、げまわってばかりいました。

なにしろあおひげをやしたおとこなんか、かんがえただけでも、ぞっとするくらいですし、それに、むねわるほどいやなことには、このおとこは、まえからも、いくにんおくさまをもっていて、しかもそれがひとりのこらず、どこへどうってしまったか、行方ゆくえからなくなっていることでした。

そこで、あおひげは、これは、このむすめさん親子おやこのごきげんをとって、自分じぶんきになるように仕向しむけることが、なにより近道ちかみちだとかんがえました。

そこで、あるとき、親子おやこと、そのほか近所きんじょりあいのわかひとたちを大勢おおぜい田舎いなか屋敷やしきまねいて、一週間いっしゅうかんあまりもめて、ありったけのもてなしぶりをせました。

それは、毎日まいにち毎日まいにち野遊のあそびにる、りにく、りをする、ダンスのかいだの、夜会やかいだの、おちゃかいだのと、まわるようなせわしさでした。

よるになっても、だれ寝床ねどこはいろうとするものもありません。

よいぎても、夜中よなかぎても、みんなそこでもここでも、おしゃべりをして、わらいさざめいて、ふざけっこしたり、うたうたったり、それはそれは、にぎやかなことでした。

とうとうこんなことで、なにもかも、とんとん拍子びょうしにうまくはこんで、すえいもうとほうがまず、この屋敷やしき主人しゅじんのひげを、もうそんなにあおくはおもわないようになり、おまけに、立派りっぱな、礼儀れいぎただしい紳士しんしだとまでおもうようになりました。

さて、うちかえるとまもなく、ご婚礼こんれいしきみました。

それから、ひとつきばかりったのちのことでした。

あおひげは、ある奥方おくがたかって、これから、ある大切たいせつ用向ようむきで、どうしても六週間ろくしゅうかん田舎いなかたびをしてこなければならない。そのかわり、留守るすあいだ気晴きばらしに、おともだちやりあいのひとたちを、屋敷やしきんで、さといえにいたときおなじように、おもしろおかしくあそんで、らしてもかまわないから、といました。

「さて。」と、そのあとで、あおひげは奥方おくがたいました。

「これはふたつとも、わたし一番いちばん大事だいじ道具どうぐはいっている大戸棚おおとだなかぎだ。これは普段ふだん使つかわない金銀きんぎんさられた戸棚とだなかぎだ。これは金貨きんか銀貨ぎんかをいっぱいれた金庫きんこかぎだ。これは宝石箱ほうせきばこかぎだ。これは部屋へやのこらずのかぎだ。さて、ここにもうひとつ、ちいさなかぎがあるが、これは地下室ちかしつ大廊下だいろうかの、いちばんおくにある、小部屋こべやけるかぎだ。戸棚とだなという戸棚とだな部屋へやという部屋へやは、どれをけてみることも、なかはいってみることも、おまえの勝手かってだが、ただひとつ、この小部屋こべやだけは、けっしてけてみることも、まして、はいってみることはならないぞ。これはかたくめておく。万一まんいちにもそれにそむけば、おれおこって、なにをするかからないぞ。」

奥方おくがたは、おいつけのとおり、かならまもりますと、約束やくそくしました。

やがてあおひげは、奥方おくがたやさしくキスして、四輪馬車よんりんばしゃって、旅立たびだってきました。

おはなちゃん
おはなちゃん
ふたりの娘のどちらでも良いからお嫁にもらいたいって・・・どう??
やなかゆう
やなかゆう
こんな雑な求婚はぜったいイヤ!母親だったらこんなこと言う男に娘を渡したくないよ
青ひげを持つ男の恐ろしい正体を知った娘の話②【この文章は3分で読めます】シャルル・ペロー作、「青ひげ」の中編です。物語の漢字全てにルビが振ってあります。また、ルビ付きの1分で音読できるシートもダウンロードできます。 ...

読了ワーク

思い出してみよう

1.身分の良い奥さんのふたりの美しい娘は、青ひげを生やした男のことを嫌っていました。一つは青ひげを生やしていることが理由ですが、もう一つの理由は何でしょうか。

2.青ひげの懸命なおもてなしにより、ふたりの美しい娘のうちの一人がお嫁に行くことを決めます。どちらの娘がお嫁に行くことになりましたか。

調べてみよう

“縫箔”とはどんなものでしょうか。調べてみましょう。

知っ得慣用句

胸の(が)悪い

不愉快な気分になるほどムカムカし、腹が立つこと

音読シートダウンロード

★この物語“青ひげ①【前編】”の音読シートがダウンロードできます。
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底本情報

底本:「世界おとぎ文庫(イギリス・フランス童話篇)妖女のおくりもの」小峰書店
1950(昭和25)年5月1日発行
※「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の表記をあらためました。
入力:大久保ゆう
校正:秋鹿
2006年1月21日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。

読了ワーク『思い出してみよう』の解答例

1.前から何人か奥さまをもらっていて、その奥さまの行方が誰一人としてわからないこと。
2.末の妹の方。