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オウムが大好きな主人のために頑張る話①

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やなかゆう
やなかゆう
小野浩作『金のくびかざり①【前編】』です
このおはなしはこんな人にオススメ
  • クリスマスにちなんだ、楽しい話が読みたい。
  • 3歳以上の子どもに読み聞かせしたい。

このおはなしの作者

小野浩おのひろし(1894年~1933年)

※名前をクリックすると別ウィンドウでコトバンクの作者情報が表示されます。

おはなしの始まりはここから

★この文章は3分で読めます

よしさんのおうちも、あすは、クリスマスです。

毛並けなみのつやつやした、まっくろいネコは、どおし、煙突えんとつのてっぺんにすわって、サンタクロースのおじいさんが、このおうちをまちがいなくつけてくれればいいがと、黄色きいろをひからせて、つめていました。

よしさんは今夜こんやは、きっと、おじいさんが、あたしのほしくてほしくてたまらない、ちいさなきんのくびかざりをっててくれるにちがいないとって、おねんねをしました。

イヌは、うちなか煙突えんとつしたを、ふさふさしたしっぽ・・・で、きれいにお掃除そうじをしました。

せっかくサンタおじいさんが、きんのくびかざりをもって煙突えんとつからりてても、そこがあまりきれいでなくては、いやな気持きもちになってかえってしまうかもしれないからです。

「オウムさん、あなたはこのクリスマスに、よしさんにはなにをしてあげるの。」

と、イヌは、かごなかのオウムにこえをかけました。

「あたしは、おざめのうたうたってあげるわ。」と、オウムはいました。

「それは毎朝まいあさのことで、べつにめずらしくもないじゃないの。」

「でも、いつものうたとはちがうのよ。あたしが、さっき、つくったばかりの、それはいいうたなんですの。」と、オウムはいました。

「ふふん、うたなんか、うたったって、クリスマスのやくにはたないや。ごらんよ、ぼくたちのやってることを。ネコがこのうえにいてひからせていなかったらこのうちそらからえないし、ぼくがここをきれいにしておかなければ、おじいさんははいってやしないよ。ぼくたちのすることは、こんなものだ。」

イヌは、しっぽをって、おおいばりにいばりました。

「あたしだって、なにかしたいのだけれど、でも、かごなかにいるんですもの。あたしにはうたうたうことしか出来できないわ……。いまに、いいふしがつくんだけれど。」

オウムは、さびしそうに、ちいさなこえでこういました。

イヌは、それには、返事へんじもしないで、「では、ぼくは、おじいさんがるまで、一寝入ひとねいりするんだ。」

こうって、ごろりと、よこになってしまいました。

部屋へやなかはしいんとして、よるが、だんだんふけていきました。

しばらくすると、屋根やねうえに、みしみしという足音あしおとこえました。

イヌは、はっとをさましてみみてました。

オウムはずっと、ねないで、まっていたのです。

掃除そうじはきれいに出来できたかな。」

サンタクロースのおじいさんは、こういながら、えんとつのうえにいたネコを背中せなかにしょって、すらりと、お部屋へやりてました。

そして、ポケットから、かきつけをして、「ええッと、よしさんはなにがほしいのだったかな。」と、みかえしました。

「あたしのある人形にんぎょうにはおくつふたつ。

しろくまちゃんには毛皮けがわ帽子ぼうしを。

ネコにはちりちりとずすを。

イヌにはぴかぴかひか首輪くびわひとつ。

オウムにはあたらしいうたふし・・

それから、あたしには……」

サンタおじいさんは、そこでつまってしまいました。

くらくてがよくえないので、かきつけをのそばによせて、

「はてな、よしさんのほしいものはなんだったっけな。」と、おじいさんはかんがえこみました。

ちいさなきんのくびかざりです。」と、イヌとネコとオウムとが、一度いちどいました。

ちいさなきんのくびかざり? おお、そうだった。昨夜ゆうべちゃんと、つくって……それから、どうしたっけな。」

おじいさんは、すこしあわてて、ポケットというポケット…まる…いポケット、四角しかくなポケット、うえのポケット、下のポケットを……さがしまわしました。

でも、くびかざりはどこにもつかりません。

「おやおや、どうしたんだろう。もってないはずはないのだが……はてなはてな。」

おじいさんは、しきりにくびをひねりました。

イヌとネコは心配しんぱいしてかお見合みあわせました。

自分じぶんたちのもらうものはどうでもいいけれど、だいじなおじょうさまが、あれほどほしがっていらっしゃる、くびかざりですから、どうしてもさがししてもらわなければなりません。

おじいさんは帽子ぼうしもとってました。

くつもぬいでました。

しかし、どこにもありません。

オウムが大好きな主人のために頑張る話②【この文章は3分で読めます】小野浩作、「金のくびかざり」の後編です。物語の漢字全てにルビが振ってあります。また、ルビ付きの1分で音読できるシートもダウンロードできます。...

読了ワーク

思い出してみよう

  1. 毛並みのつやつやした、真っ黒いネコは夜どおし、どこにすわって何をしていたでしょうか。
  2. イヌはサンタクロースのおじいさんが来る前に、何をしていましたか。

調べてみよう

  1. 『籠』と『篭』の違いは何でしょうか。
  2. 『歌』と同じ読みの漢字は他に『唄』と『詩』があります。これらの違いは何でしょうか。

音読シートダウンロード

★この物語“金のくびかざり①【前編】”の音読シートがダウンロードできます。
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読了ワーク『思い出してみよう』の解答例

  1. 煙突のてっぺんにすわって、黄色い目をひからせていた。
  2. 家の中の煙突の下を、ふさふさしたしっぽできれいにお掃除をしていた。