- 読書の集中力があまり続かない。
- 可愛らしい話が読みたい。
- 3歳以上の子どもに読み聞かせしたい。
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★この文章は3分で読めます
よう子ちゃんはお台所が大好きでした。
なぜかというと、お料理の匂いはほんとに美味しそうなんですもの。
それに、スプーンやフォークやお茶碗やお皿などがカチン、カチン、チャラ、チャラチと可愛い音をたてています。
それからもっと、色んな音がします。
お鍋の中ではクッタ、クッタ、クッタとお湯の煮立つ音がしますし、ジャ、ジャ、ジャ、ジャと水道が勢いよく流れるし、バッタン、バッタンと戸棚を開ける音も聞こえます。
よう子ちゃんは色んな音を聞くのも大好きです。
ある日のこと、お台所ではお料理づくりにお母さんが忙しく働いていました。
そのうちにお母さんはお鍋と、やかんと、フライパンを火にかけて、お庭へ出てゆきました。
よう子ちゃんはその隙にソーッとお台所に入りこみました。
ガスの火はボウ、ボウ、ボウと妙な声を出して燃えて、その上にお鍋とやかんが並んでいます。
「よう子ちゃん、もっとこっちへいらっしゃいな。おもしろい歌を聞かせてあげましょう。」どこからかこんな声がしましたので、よう子ちゃんはびっくりしてしまいました。
すると、やかんがこんな歌を歌いはじめました。
「ブクッ、ブクッ、ブクッ、ブクッ。」それからその歌は段々大きくなって、「プー、プー、シュッ、シュッ、プー、プー、シュッ、シュッ、シュッ」それから、もっと、もっと大きく、「ブク、ブク、シュ、シュ、ブク、シュ、シュ。」
あまり大きな声を出して歌ったので、やかんの上に乗っかっていた蓋までが、「パクン、パクン、パクン、パクン」と跳んだり、はねたりの大騒ぎです。
「おやかんが、私に歌を聞かせているんだわ。だけどお湯が煮立ちすぎやしないかしらん、私、心配だわ、どうしましょう。」よう子ちゃんは心配になりました。
「グツ、グツ、グツ、グツ、グツ、グツ、グツ」今度はお鍋もやかんの歌に合わせて歌いはじめました。
「グッタ、グツ、グッタ、グツ、グッタ、グッタ、グッタ。」段々大きな声を出しました。
「お鍋が私に歌を聞かしてくれているのね。だけどあんな声を出して、煮立ちすぎると困るわ。」
「ピチ、ピチ、ピチ、ピチ、ピチ、ピチ、ピチ。」出ない声をはり上げて、フライパンまでが歌い出しました。
「チリ、ピチ、チリ、ピチ、チリ、ピチ、チリ。私だって歌おうと思えば、歌えるのよ。チリ、チリ、ピチ、ピチ、チリ、ピチ、チリ。私の声はとてもいい声でしょう?」
「ブク、ブク、グツ、グツ、ブク、グツ、ブク。私たちはこんなに大きな声が出せるのよ。大きな声をね。」とお鍋とやかんは又、負けずにがなり立てました。
ブク、ブク、シュッ、シュッ
パク、パク、パク
グツ、グツ、グタ、グタ
チリ、ピチ、チリ
お鍋とやかんとフライパンはそれぞれ夢中になって歌っているうちに、さあ大変、みんなガバンガバンと煮えくりかえってしまいました。
プク、パク、グツ、ピチ、プク、パク、グツ。
ピチ、プク、パク、グツ、ピチ、プク、パク。
その音を聞きつけて、お母さんは大慌てに慌てて、台所へかけこんで、お鍋とやかんとフライパンを火から引きずり下ろしました。
お鍋とやかんとフライパンのけんかはこれでお終いになりました。
お母さんは言いました。
「よう子ちゃん、今度から、お鍋や、やかんやフライパンがブツブツ言い出したらお母さんにすぐ知らせなくちゃいけませんよ。」
「私が悪いんじゃないのよ。お鍋とおやかんにけんかを仕掛けたフライパンが悪いのよ。そうでしょう! お母さん?」
お母さんは何にも御存じないので可笑しそうに笑いました。
読了ワーク
思い出してみよう
- お母さんがいなくなった隙に、台所に来たよう子ちゃんはびっくりしました。それはなぜですか。
- 出ない声をはり上げて歌い出したのは誰ですか。
- お鍋とやかんとフライパンがそれぞれ夢中になって歌っているうちにどうなりましたか。
- お母さんから注意を受けたよう子ちゃんは、誰が悪いと言いましたか。
単語ピックアップ
がなり立てる(がなりたてる)
あたりに構わず、激しくわめき立てること。
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準備中
読了ワーク『思い出してみよう』の解答例
- どこからともなく、よう子ちゃんに話しかける声が聞こえたから
- フライパン
- みんなガバンガバンと煮えくりかえってしまった
- 「お鍋とやかんにけんかを仕掛けたフライパンが悪い」と言った。