このおはなしはこんな人にオススメ

●怖い話は得意。
●怖い話が好きな子ども(年長)に読み聞かせしたい。

やなかゆう
やなかゆう
私はこの話を『グリム名作劇場』というアニメで知りました。子どもの頃見て、怖い話だったと覚えています

このおはなしの作者

【作者】
シャルル・ペロー(1628年~1703年)

【訳】
楠山正雄くすやままさお(1884年~1950年)

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おはなしの始まりはここから

★この文章は3分で読めます

むかしむかし、町まちと田舎いなかに、大おおきな屋敷やしきをかまえて、金きんの盆ぼんと銀ぎんのお皿さらを持もって、きれいなお飾かざりと縫箔ぬいはくのある、椅子いす、机つくえと、それに、総金そうきん塗ぬりの馬車ばしゃまでも持もっている男おとこがありました。

こんな幸しあわせな身分みぶんでしたけれど、ただ一ひとつ、運うんの悪わるいことは、おそろしい青あおひげを生はやしていることで、それはどこの奥おくさんでも、娘むすめさんでも、この男おとこの顔かおを見みて、あっと言いって、逃にげ出ださないものはありませんでした。

さて、この男おとこの屋敷やしき近ちかくに、身分みぶんの良いい奥おくさんがあって、ふたり、美うつくしい娘むすめさんをもっていました。

この男おとこは、この娘むすめさんのうちどちらでもいいから、ひとり、お嫁よめさんにもらいたいと言いって、たびたび、この奥おくさんをせめました。

けれど、ふたりがふたりとも、娘むすめたちは、この男おとこを、それはそれは嫌きらっていて、逃にげまわってばかりいました。

なにしろ青あおひげを生はやした男おとこなんか、考かんがえただけでも、ぞっとするくらいですし、それに、胸むねの悪わるいほど嫌いやなことには、この男おとこは、前まえからも、いく人にんか奥おくさまをもっていて、しかもそれがひとり残のこらず、どこへどう行いってしまったか、行方ゆくえが分わからなくなっていることでした。

そこで、青あおひげは、これは、この娘むすめさん親子おやこのごきげんをとって、自分じぶんが好すきになるように仕向しむけることが、なにより近道ちかみちだと考かんがえました。

そこで、あるとき、親子おやこと、そのほか近所きんじょで知しりあいの若わかい人ひとたちを大勢おおぜい、田舎いなかの屋敷やしきに招まねいて、一週間いっしゅうかんあまりも泊とめて、ありったけのもてなしぶりを見みせました。

それは、毎日まいにち、毎日まいにち、野遊のあそびに出でる、狩かりに行いく、釣つりをする、ダンスの会かいだの、夜会やかいだの、お茶ちゃの会かいだのと、目めの回まわるような忙せわしさでした。

夜よるになっても、誰だれも寝床ねどこに入はいろうとする者ものもありません。

宵よいが過すぎても、夜中よなかが過すぎても、みんなそこでもここでも、おしゃべりをして、笑わらいさざめいて、ふざけっこしたり、歌うたを歌うたい合あったり、それはそれは、賑にぎやかなことでした。

とうとうこんなことで、何なにもかも、とんとん拍子びょうしにうまく運はこんで、末すえの妹いもうとの方ほうがまず、この屋敷やしきの主人しゅじんのひげを、もうそんなに青あおくは思おもわないようになり、おまけに、立派りっぱな、礼儀れいぎ正ただしい紳士しんしだとまで思おもうようになりました。

さて、家うちへ帰かえるとまもなく、ご婚礼こんれいの式しきが済すみました。

それから、ひと月つきばかり経たった後のちのことでした。

青あおひげは、ある日ひ、奥方おくがたに向むかって、これから、ある大切たいせつな用向ようむきで、どうしても六週間ろくしゅうかん、田舎いなかへ旅たびをしてこなければならない。そのかわり、留守るすの間あいだの気晴きばらしに、お友ともだちや知しりあいの人ひとたちを、屋敷やしきに呼よんで、里さとの家いえにいた時ときと同おなじように、おもしろおかしく遊あそんで、暮くらしてもかまわないから、と言いいました。

「さて。」と、その後あとで、青あおひげは奥方おくがたに言いいました。

「これはふたつとも、私わたしの一番いちばん大事だいじな道具どうぐの入はいっている大戸棚おおとだなの鍵かぎだ。これは普段ふだん使つかわない金銀きんぎんの皿さらを入いれた戸棚とだなの鍵かぎだ。これは金貨きんかと銀貨ぎんかをいっぱい入いれた金庫きんこの鍵かぎだ。これは宝石箱ほうせきばこの鍵かぎだ。これは部屋へや残のこらずの合あい鍵かぎだ。さて、ここにもうひとつ、小ちいさな鍵かぎがあるが、これは地下室ちかしつの大廊下だいろうかの、いちばん奥おくにある、小部屋こべやを開あける鍵かぎだ。戸棚とだなという戸棚とだな、部屋へやという部屋へやは、どれを開あけてみることも、中なかに入はいってみることも、おまえの勝手かってだが、ただ一ひとつ、この小部屋こべやだけは、決けっして開あけてみることも、まして、入はいってみることはならないぞ。これはかたく止とめておく。万一まんいちにもそれにそむけば、俺おれは怒おこって、何なにをするか分わからないぞ。」

奥方おくがたは、お言いいつけの通とおり、必かならず守まもりますと、約束やくそくしました。

やがて青あおひげは、奥方おくがたに優やさしくキスして、四輪馬車よんりんばしゃに乗のって、旅立たびだって行いきました。

おはなちゃん
おはなちゃん
ふたりの娘のどちらでも良いからお嫁にもらいたいって・・・どう??
やなかゆう
やなかゆう
こんな雑な求婚はぜったいイヤ!母親だったらこんなこと言う男に娘を渡したくないよ
青ひげを持つ男の恐ろしい正体を知った娘の話②【この文章は3分で読めます】シャルル・ペロー作、「青ひげ」の中編です。物語の漢字全てにルビが振ってあります。また、ルビ付きの1分で音読できるシートもダウンロードできます。 ...

読了ワーク

思い出してみよう

1.身分の良い奥さんのふたりの美しい娘は、青ひげを生やした男のことを嫌っていました。一つは青ひげを生やしていることが理由ですが、もう一つの理由は何でしょうか。

2.青ひげの懸命なおもてなしにより、ふたりの美しい娘のうちの一人がお嫁に行くことを決めます。どちらの娘がお嫁に行くことになりましたか。

調べてみよう

“縫箔”とはどんなものでしょうか。調べてみましょう。

知っ得慣用句

胸の(が)悪い

不愉快な気分になるほどムカムカし、腹が立つこと

音読シートダウンロード

★この物語“青ひげ①【前編】”の音読シートがダウンロードできます。
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底本情報

底本:「世界おとぎ文庫(イギリス・フランス童話篇)妖女のおくりもの」小峰書店
1950(昭和25)年5月1日発行
※「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の表記をあらためました。
入力:大久保ゆう
校正:秋鹿
2006年1月21日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。

読了ワーク『思い出してみよう』の解答例

1.前から何人か奥さまをもらっていて、その奥さまの行方が誰一人としてわからないこと。
2.末の妹の方。